パラオでダイビングといえばブルーコーナーやジャーマンチャネルが有名ですが、上級者向けのポイントがあることをご存知でしょうか?
ブルーコーナーからスピードボートでさらに30分ほど南へ進むとペリリュー島という島があります。ペリリュー島で潜るにはかなりの経験本数(スキルによりますが100本〜200本以上としていることが多いです)が必要とされているくらい流れの強い上級者ポイントとなのですが、そこで毎年春にだけ見られる奇跡の光景があるのです!
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イレズミフエダイ!ペリリューの海を舞台にする主役の正体とは?
ダイバーの中で春時期にペリリューと言ったらイレズミフエダイ!なのですが、この魚、知っていますか?

青白いボディに黄色い縦縞模様と黄色い鰭、これがイレズミフエダイです。彼らの生態には今だ謎が多く通常は-100m 〜 -200m程度の深場に生息していると考えられています。1年に数ヶ月だけ、春の新月前に-20m 〜 -40m程度まで水深を上げ産卵すると考えられています。
想像を超える光景!イレズミフエダイの大産卵が“神秘的”すぎた
このイレズミフエダイ、3月と4月の新月前にだけ産卵のために集まるのですがその光景が生命の神秘そのものなのです!
子孫を残すため、いつもより浅い所へ上がってくるその数なんと数万匹!!

産卵がスタートするまではぞろぞろとただ群れながら川のように棚の上を移動しているのですが産卵モードに入ると『婚姻色』と言って体色がどんどん黒くなる個体が増えていきます。彼らも興奮状態、もうすぐ産卵するぞ!の合図です。

写真中央あたりの黒っぽくなっている個体が婚姻色です。
きっかけとなる1匹のメスが群れの上へ飛び出すと数匹のオスがすぐに反応し、メスを追いかけ入り乱れ花火の様に中層で放精放卵。それを皮切りにそこらじゅうで産卵が繰り広げられます!そしてその産卵の匂いにつられ、大型のサメ、ブルシャークやカマストガリザメも姿を現すのです。

写真中央に写っているのがブルシャーク。
『今しか子孫を残せない魚たち』が必死に命懸けで産卵する姿は神秘的、そのもの。
奇跡の瞬間に出会える場所はここ!
その産卵のために選ばれた場所がペリリューコーナー/ペリリューエキスプレスなのです!
彼らは少しでも多くの子孫を残すため、少しでも遠くへ卵を飛ばすために潮の流れが強い場所を選びました。

この棚の上、棚の際で産卵をするのでダイバーは棚の上で産卵を見ることになりますが産卵している時の流れの強さは毎回違って、ものすっごく流れが強いこともあればそうでもないこともあります。

この様にリーフにつかまりながら産卵を観察します。流れが強い時は自分の泡が真横に流れていくほどなので棚に必ずつかまること、中層にいないこと、棚から離れる際にはダウンカレントにも注意が必要になりますので安全に潜るためにガイドの指示には必ず従ってください。
産卵は1週間〜10日ほど続きます。ペリリューコーナーやペリリューエキスプレスで産卵をし、終わったら隣のイエローウォールというポイントへ移動し、翌朝の産卵のタイミングまで待つ。というのを毎日繰り返します。
大産卵が見られるタイミングは1日に1回だけ!見逃さない条件とは?
そしておもしろいのが産卵のタイミングです。彼らが産卵するのは1日のうち1回、1〜2時間程度なのです。
産卵初日は早朝の時間にスタートするので、私たちが出発するのも早朝5時~6時。そこからは毎日少しずつ遅い時間にずれていくのです。

なのでガイドは初日の産卵時間から計算して翌日の産卵時間を推測、実際海に入りイレズミフエダイの状態を見てからエントリーしています。
早起きの価値あり!!ぜひ奇跡の瞬間を目に焼き付けてください!
一生に一度はこの目で見たい!イレズミフエダイ大産卵の魅力まとめ
ダイバーとして憧れのダイビングポイントであるペリリュー。私もダイビングインストラクターになってから潜りましたが、とても緊張したけれどものすごく感動したのを覚えています。
年にたった数ヶ月しか見られないイレズミフエダイの奇跡の大産卵は生命の神秘を感じさせてくれます。
流れが早いことが多いため、フリー潜降・中性浮力はしっかりしたスキルは必要となりますが、ぜひスキルアップして見ていただきたいシーンです!
今回の写真はすべてTG-6のものです。ワイドもマクロも撮りやすいのでオススメです^^
