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旅行の準備をしているとき、「現地で具合が悪くなったらどうしよう」と考えたことはありませんか?
言葉も通じない、病院の場所も分からない、そもそも病院があるのかも分からない。考え出すと不安ですよね。
私自身、パラオで何度も病院のお世話になりました。発熱、喉の痛み、おでき、結膜炎、捻挫。ひととおり経験しています。。
そして勤務時代、お客様をチャンバー(減圧症の治療設備)へお連れしたこともあります。チャンバーへ入った時の治療費は、合計で約5,000ドル超え。
この記事では、パラオの病院事情と、日本から持っていくべき常備薬についてまとめました。
読んでおけば、いざというときに慌てずに済むはずなので参考にしてくださいね。
- 病院は予約不要。薬もその場でもらえます
- 街中に泊まっているならヤノクリニックかアイクリニック
- 診察は英語のみ。不安なら旅行会社に相談すると付き添ってくれることも
- 軽い不調ならWCTC・スランゲルの薬局コーナーで市販薬が買えます
- 忘れて困るのは酔い止め。これだけは必ず
🤿 ダイバーの方へ:減圧症のチャンバー治療は5,000ドル超かかりました。しかもすぐ入れるとは限りません。詳しくは「減圧症とチャンバーのこと」の章をご覧ください。海外旅行保険は必ず、ダイビングが補償されるかまで確認してください。
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パラオの医療事情|日本と違う5つのこと
まず、日本の感覚で行くと戸惑うところから。
1. 医療機関の数が少ない
パラオの人口は約2万人。病院とクリニックを合わせても、主要なものは数えるほどしかありません。「近所の内科」のような選択肢はないので、どこに何があるかを知っておくだけで安心です。
2. 診察は英語のみ
日本語が通じる医療機関はありません。症状を英語で伝える必要があります。
ただ、不安な方は旅行会社に相談すると付き添ってくれることがあります。ツアーで来ている方は、まずガイドや現地のオフィスに連絡してみてください。これは知っておくと心強いですよね。
3. 薬は病院でもらえる
これが日本との一番大きな違いかもしれません。
日本だと「病院で処方箋をもらって、別の薬局へ行く」という流れですが、パラオの病院はどこも薬局が併設されていて、その場で薬を受け取って帰れます。薬代は診察料に含まれています。
診察が終わったあとに「次はどこへ行けば…?」と探し回る必要はありません。
4. 予約は不要、飛び込みでOK
私はいつも飛び込みで行っていました。旅行中に急に具合が悪くなっても、そのまま向かって大丈夫です。
ただし混んでいる日は30分以上待つこともあります。その日の予定には余裕を持たせておいてください。
5. 旅行者は実費
パラオの在住者は「SSカード」という保険証を持っていて、積み立てた保険料から医療費を支払う仕組みがあります。私もこれを使っていたので、正直なところ診察料をいくら払ったかよく覚えていません。。
でも旅行者にこの制度は使えません。かかった費用は全額自己負担です。
料金は診察内容によって変わりますので受診のときに確認してください。
ただ、風邪や軽いケガの診察であれば、そこまで高額という印象はありませんでした。本当に怖いのは、この後に書く減圧症のケースです。
パラオの病院・クリニック一覧|症状別にどこへ行く?
私が実際に使っていた4か所をまとめます。
| 施設 | 場所 | こんなときに |
|---|---|---|
| Belau National Hospital (ベラウ国立病院) |
アラカベサン島 Meyungs(ミュンズ) |
重症・入院・減圧症(チャンバー) 24時間対応 |
| Family Surgical Clinic | アラカベサン島 Meyungs(国立病院の隣) |
風邪・発熱・ケガ 比較的空いている |
| Belau Medical Clinic (通称ヤノクリニック) |
コロール WCTCの隣 |
風邪・発熱・ケガ 夕方もやっている |
| PFMS Pharmacy Medical Eye Clinic |
コロール 居酒屋「夢」の隣 |
目のトラブル全般 |
Belau National Hospital(ベラウ国立病院)
パラオで唯一の総合病院です。アラカベサン島のMeyungs(ミュンズ)というエリアにあります。
入院設備があり、減圧症を治療するチャンバーもここにあります。24時間対応なので、夜間や緊急時はここになります。
Family Surgical Clinic
国立病院のすぐ隣にあるプライベートクリニックです。
私は発熱、喉の痛み、おできができたときにお世話になりました。ヤノクリニックより空いている印象で、よくこちらを使っていました。
ただし診療時間が昼過ぎまでなので、午後に具合が悪くなったときは間に合いません。
Belau Medical Clinic(ヤノクリニック)
コロールの中心部、WCTCの隣にあります。地元では「ヤノクリニック」と呼ばれていますが、日本人のお医者さんがいるわけではありません。ビクター・ヤノ先生というパラオ人の先生のお名前です。日本語が通じると思って行くとびっくりするので、念のため。
私は捻挫と打撲、風邪のときに行きました。
ここの一番のメリットは夕方17時から20時までも診療していることです。仕事終わりに行けるので、在住のころは重宝しました。ダイビングから帰ってきてから、という方にも使いやすいと思います。
ただし小さなクリニックなので医療機器は限られていて、詳しい検査が必要な場合は国立病院へ搬送されます。
PFMS Pharmacy Medical Eye Clinic
コロールの居酒屋「夢」の隣。目専門のクリニックです。
私は結膜炎と、目の調子が悪くなったときにお世話になりました。ダイビングやシュノーケルで目をやられる方は意外といるので、覚えておくと安心です。
コロールの街中のホテルに泊まっているなら、ヤノクリニックかアイクリニックが行きやすいです。アラカベサン島の2つは少し離れています。パラオには流しのタクシーがないので、ホテルで呼んでもらってくださいね。
※診療時間や連絡先は変わることがあります。行く前にホテルや旅行会社に確認してもらうのが確実です。
受診するときの流れと持ち物
持っていくもの
観光の方は、この2つです。
- パスポート
- 海外旅行保険証(保険証券)
保険証は、スマホで撮った画像でもないよりずっといいです。出発前に撮っておくことをおすすめします。
当日の流れ
- 予約なしで行く(飛び込みOK)
- 受付で症状を伝える
- 待つ(混んでいると30分以上)
- 診察
- 会計
- 併設の薬局で薬を受け取って終了
そのまま使える英語フレーズ
症状を伝えるときに使えるものを置いておきます。スマホに保存しておくか、画面を見せるだけでも伝わりますよ。
| 伝えたいこと | 英語 |
|---|---|
| 熱があります | I have a fever. |
| のどが痛いです | I have a sore throat. |
| お腹が痛いです | I have a stomachache. |
| 3日前からです | It started three days ago. |
| ここをケガしました | I hurt it here.(患部を指さしながら) |
| サンゴで切りました | I cut myself on coral. |
| 何かに刺されました | I got stung by something. |
| 薬のアレルギーはありません | I have no drug allergies. |
| 海外旅行保険に入っています | I have travel insurance. |
完璧な英語じゃなくても大丈夫です。痛いところを指さして “It hurts here.” と言えば、まず伝わります。
【ダイバー必読】減圧症とチャンバーのこと
ここからが、この記事で一番お伝えしたい部分です。
パラオにはチャンバーがあります
減圧症になったとき、治療に使うのが再圧チャンバーという設備です。パラオではベラウ国立病院の敷地内にあり、24時間対応になっています。
「パラオにはチャンバーがあるから安心」と聞いたことがある方もいるかもしれません。設備があるのは事実です。
ただ、知っておいてほしい現実があります。
設備があっても、操作できるお医者さんが1人しかいないと聞いています。つまり、その先生の都合がつかなければ、すぐには入れません。
お客様が入ることになった時も、病院へ行ってすぐではありませんでした。
減圧症は早く治療するほどいいとされています。「チャンバーがあるから大丈夫」ではなく、「あるけれど、すぐ入れるとは限らない」。これが現地の実際です。
だからこそ、何より大事なのはそもそもならないように安全なダイビングをすることなんですよね。
お客様をチャンバーへお連れしたときのこと
ガイドをしていたとき、ダイビングのあとにお客様から「減圧症かもしれない」とショップに連絡をいただいたことがあります。
ご本人が「チャンバーに入りたい」とのことだったので、ショップから病院へ連絡し、ショップの車で病院までお連れしました。
減圧症は、症状の出方が人によって違って、診断がとても難しいものです。最初のきっかけが「本人の自己申告」になることは珍しくありません。
よくあるのは「手足が痺れる」という症状。脱水症状の場合もあり、ポカリなどを飲んでしばらく安静にしていたら良くなったケースもありました。
だから、少しでもおかしいと感じたら我慢せずに言ってください。遠慮している場合ではないです。
チャンバー治療は、思っているより大変です
「ちょっと入って終わり」というイメージを持っている方が多いと思うのですが、実際はかなり違います。
- 1回で約5時間かかります
- 基本は1回(症状によります)
- 中ではじっと安静。外からの指示を聞きながら待ちます
- 専用のマスクをつけて酸素を吸入する
- 2人1組で入る決まりなので付き添いが必要です。このときはスタッフが付き添いました
- 中にトイレはありません。我慢するか、簡易トイレのようなものをチャンバー内で使うことになります
5時間、狭い空間でじっとしている。しかもトイレもない。。想像するとなかなかですよね。
そして「付き添いが必要」というのも大事なポイントです。おひとりで旅行している方は、誰かに付き添ってもらう必要が出てきます。
治療費は5,000ドルを超えました
いちばんお伝えしたいのがここです。当時の診療費ですが
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| チャンバー(1時間 $800 × 5時間) | $4,000 |
| 入院費・診療費 | 約$1,200 |
| 合計 | 約$5,200 |
1ドル150円で計算すると約78万円です。円換算すると気が遠くなります。汗。
でも、これが現実にかかる金額です。
78万円を自費で払えますか、と聞かれたら、私は無理です。
そしてダイビングをされる方は、契約内容をよく確認してください。保険によっては、ダイビング中の事故が対象外になっていたり、特約が必要だったりします。「保険に入ったから安心」ではなく、「ダイビングが補償されるか」まで見ておいてくださいね。
ダイビング後、飛行機まで何時間空ける?
減圧症でもうひとつ大事なのが、ダイビングのあとすぐに飛行機に乗らないことです。
私がガイドをしていたときは、お客様にこう案内していました。
| ダイビングの内容 | 飛行機まで空ける時間 |
|---|---|
| 連日ダイビングをされた方 | 18時間以上 |
| 減圧停止が必要なダイビングをされた方 | 24時間以上 |
パラオ旅行は日程がタイトになりがちなので、最終日のダイビングをどうするかは出発前に決めておいてください。「せっかくだからもう1本」が、取り返しのつかないことになりかねません。
予約しているダイビングショップにも、帰国便の時間を必ず伝えておきましょう。
ガイド時代に多かったトラブル5つ
8年半ガイドをしていて、お客様に多かったトラブルを多い順に並べます。病院に行くほどではないけれど、現場でよく起きていたものです。
1位:船酔い
ダントツの1位です。耳抜きでもサンゴでもなく、船酔い。
パラオはボートで移動する国です。ポイントまで1時間近くかかることもあるので、揺れに弱い方にはなかなかしんどい時間になります。
出港前には必ず酔い止めのご案内をしていました。酔ってしまった方には、その場で飲んでいただくことも。
ただ酔い止めは「酔う前に飲む」のが基本です。酔ってから飲んでも効きが悪いので、心配な方は出港前に飲んでおいてください。
2位:サンゴで切る
これも本当に多いです。
特に切るのが手首や足首。ウェットスーツでカバーできていないところなんですよね。
サンゴの傷は見た目より治りが遅く、海に入り続けていると化膿することもあります。ショップではドルマイシン軟膏で手当てをしていました。
3位:クラゲやプランクトンに刺される
目に見えない小さなプランクトンに刺されて、肌がチクチクすることがあります。
ショップではお酢やリンデロンを使って対応していました。私は個人的にムヒを常備していたので、お客様に塗ってさしあげることもありましたよ。
4位:脱水でしびれる
これは見落とされがちです。
南国で、一日中海にいて、ウェットスーツを着ている。知らないうちに汗をかいていて、気づいたら手足がしびれてくる方がいらっしゃいます。
水中にいると喉の渇きを感じにくいんですよね。「まだ大丈夫」と思っているときにはもう足りていないことが多いので、こまめに、たっぷり飲んでください。
5位:耳抜きができない
これは体調に大きく左右されます。
休憩中に飴を舐めていただくと、耳が通りやすくなる方もいらっしゃいました。
ただ、無理は絶対にしないでください。抜けないまま潜ると耳を痛めます。中耳炎になってしまったら、残りの日程も潜れなくなってしまいます。抜けないときは、ガイドに必ず伝えてくださいね。
耳抜きがうまくいかない原因とコツについては、別の記事で詳しくまとめています。
現地で薬は買える?|スーパーの薬局コーナーが便利です
「もし忘れても現地で買えるの?」という疑問にお答えします。
結論、買えます。
パラオの大きなスーパーであるWCTCとスランゲル(Surangel & Sons)には薬局コーナーがあって、そこで市販薬が買えます。病院に行くほどでもない軽い不調なら、たいていここで手に入ります。
買えるもの
- 風邪薬(タイレノール)
- のど飴
- 絆創膏
- 傷薬
- 湿布
そしてポカリスエットもパラオで売っています。風邪気味のときや、汗をかいた日に手に入るのは安心ですよね。「現地で何も飲めるものがなかったらどうしよう」と心配しなくて大丈夫です。
英語表記で分からないときは、聞いてしまうのが早いです
当然ながらパッケージは全部英語なので、日本の薬のつもりで探すと分かりにくいです。
そんなときは店員さんに症状を伝えてしまうのが一番早いです。「こういうものが欲しい」と言えば、ちゃんと教えてくれますよ。
| 伝えたいこと | 英語 |
|---|---|
| 風邪薬はありますか? | Do you have medicine for a cold? |
| のどが痛いんです | I have a sore throat. |
| 傷薬を探しています | I’m looking for something for a cut. |
| かゆみ止めはありますか? | Do you have anything for itching? |
| これはどう飲みますか? | How do I take this? |
英語が苦手でも、のどを押さえながら “sore throat” と言うだけで通じます。遠慮せずに聞いてみてください。
日本から持っていくべき常備薬
さきほど書いたとおり現地でも買えますが、英語表記で分かりにくいですし、日本の薬と効き方が違うこともあります。飲み慣れたものを日本から持っていくのが一番確実です。
何より、具合が悪いときにスーパーまで買いに行くのがつらいんですよね。。持っていればその場で済みます。
ここまで読んでいただくと分かると思うのですが、多くのトラブルは「薬を持っていれば現場でなんとかなる」ものです。
酔い止め(最優先)
お客様から「持ってくればよかった」といちばんよく聞いたのがこれです。
ボートで移動する国なので、普段あまり酔わない方でも油断できません。1位のトラブルに対する備えなので、優先度は最高です。
傷薬(ドルマイシン軟膏)
ショップの救急セットにも入れていたものです。サンゴで切ったときなどに使っていました。
防水タイプの絆創膏
海に入るので、普通の絆創膏だとすぐ取れてしまいますので防水タイプを持っていってください。キズパワーパッドは少し高いですが本当に剥がれにくいのでおすすめです!手足を切ったときに、翌日もそのまま潜れるかどうかが変わってきます。
かゆみ止め(ムヒ)
私がパラオ生活でずっと常備していたものです。虫刺されにも、プランクトンのチクチクにも使えます。
経口補水液(粉末スティック)
脱水対策です。パラオでもポカリスエットは買えるので必須ではないのですが、粉末タイプを持っていくとボートの上でその場で作れます。しびれが出てきてから買いに行くわけにはいかないので、持っていると安心です。
荷物にならないのもいいところで、スーツケースの隙間に入れておけますよ。
日焼け後のアロエジェル
パラオの日差しは本当に強いです。日焼け止めだけでなく、焼けてしまったあとのケアまで用意しておくと安心です。
風邪薬・痛み止め
これはあえて商品を紹介しません。いつも飲んでいるものを持っていくのが一番です。
現地で体調を崩す方は意外といらっしゃいます。慣れない気候、長いフライト、連日のダイビング。疲れが出るタイミングが必ずあるので、飲み慣れた1箱を入れておいてください。
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まとめ|備えておけば、怖くありません
長くなったので、大事なところだけまとめます。
- パラオの病院は予約不要、飛び込みでOK。薬もその場でもらえます
- 診察は英語のみ。不安なら旅行会社に相談すると付き添ってくれることも
- 街中に泊まっているならヤノクリニックかアイクリニックが行きやすい
- チャンバーはあるけれどすぐ入れるとは限らない。治療費は5,000ドル超
- ダイビング後は18時間(減圧停止ありなら24時間)空けてから飛行機へ
- 海外旅行保険は必ず。ダイビングが補償されるかまで確認を
- 酔い止めだけは忘れずに
こうして並べると不安をあおっているように見えるかもしれませんが、そういうつもりではないんです。
私は8年半パラオで潜っていて、大きな事故を見たことはほとんどありません。多くのトラブルは、知っていれば防げるものか、持ち物でなんとかなるものでした。
知らないまま行くから怖いだけで、備えておけば大丈夫です。
パラオの海は本当に素晴らしいので、安心して楽しんできてくださいね。この記事が旅行の準備の参考になれば嬉しいです^^
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※この記事は、2024年5月までパラオに在住していた私の経験をもとに書いています。医療機関の診療時間・連絡先・料金は変わることがありますので、受診の際はホテルや旅行会社にご確認ください。また、具体的な治療や薬の選択については、医師・薬剤師にご相談ください。
